この街はパレードの終着点
「――――――おかえり、香港」
その声に顔をあげ、そうして舌打ちをする。誰が帰りたくて帰るものか、この男のところへなんて。思って、そうしてあの人ならば帰りたいと思うかもしれないとある人物を思い出し、香港は目を瞑った。
「ただいま、のひとことぐらいあってもいいとおもうんだが」
「………まるであの人のようなことを言うんスね、イギリスさん?」
ゆるりと笑い、皮肉を言えば「あの人?」翡翠色の瞳が丸くなり、そうしてから不機嫌そうな顔になった。イギリスには“ただいま”なんて言葉は存在しない。無理矢理作りだせばI am home.だろうかと香港は考え、そうして首を振った。
「最低。あまりのもUNHAPPYすぎていまにも死にそうっす」
「何がだよ」
「折角料理がおいしかったのにこれからは不味くなるし、イギリスさんは五月蠅いし……雨ばっかふるし、天候悪いし」
「悪かったな」
どこか苛々とした様子で、イギリスはリビングに置いてあるソファに座った。メイドに運ばせた2つのティーカップのうちのひとつを持ち上げ、口に運ぶ。その様子を横目で見ながら香港は窓の外へと視線を投げた。
――――――――――窓の外の景色は、頗る悪い。
「こんなに遠くちゃ、あの人が泣いていても気が付いてやれない」
かちゃん、とソーサーにカップがぶつかる音が響いた。彼は紅茶を愛する人である、彼が茶会の最中そんな失態をするのが珍しくて、香港は思わずイギリスを見た。どこかぼんやりとした様子で「あいつは」と呟いたイギリスに香港は首を傾げる。
「あいつは………日本は、泣いていたのか?」
「……あの人は泣きませんよ。俺の前ではね」
残念なことに、まだ力が及ばぬ香港では、日本に守られる立場であり、日本を守る立場ではない。本当に、残念なことだ。
「あの人が泣くのは兄さん…中国さんの前か、貴方の前だけっすよ」
今はどうだか知らないが。
哂い、そうしてイギリスを見て香港は軽く目を見開く。
「でも今は、アイツの傍に居るのは俺じゃない」
爪が手に食い込むほどに握りしめられた拳をみつめながら、イギリスは呟く。
「日本は泣けない。……………これからも。それは、幸いなのか、それとも不幸なんだろうか?」
イギリスの言葉は、空気に溶けていく。その問いに対する答えを、香港は持っていないのだから。
――――――――――外では、まだ雨は振り続けている。
きっと明日も降るのだろう、そうして、その次の日も。
けれど、いつか
いつか
***
英日香もうんまいんだぜ!
更新速度落ちたとかいわれたけれど、ようするに私はタグうちがめんどいだけ。